進路相談室

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子どもがしんどいときは、お母さんもしんどい

親子支援ネットワーク♪あんだんて♪代表 カウンセラー 福本 早穂さん

必要なのは、信頼できる第三者のサポート
親子支援ネットワーク♪あんだんて♪代表 カウンセラー 福本 早穂さん

我が子の不登校を経験し、「今、大変な思いをしているお母さんの助けになりたい」という気持ちを同じくしたお母さん方と共に、親の会を立ち上げた福本さん。 親の会の活動を通して多くの不登校の我が子を持つお母さん、当事者と出会ってきました。 不登校生や家族の悩みと長年関わってきた経験を通し、わかってくれる人に話をすることの効果や、ご自身の思い出についてもお話を伺いました。

不登校の親の会を通して見た
学校のカウンセリングの良かったところ

私が代表を務めている親子支援ネットワーク♪あんだんて♪は、立ち上げから14年を迎えた、不登校をキーワードに子育てを考える会です。今悩んでいる保護者の親の会や個別相談、有識者を招いての講演活動、会報誌の発行などをして います。かつて学校へ行っていなかったスタッフの子どもた ちは、それぞれに自分なりに自分らしい道を見つけて歩いて います。そして、♪あんだんて♪で出会った多くの不登校の 子どもたちも、同じように元気を回復してつぎのステップへ 踏み出していく姿を見てきました。

今まで出会った方のお話を聞くと、子どもたちはカウンセリングを受けても最初はなかなか話ができないことが少なく ありません。カウンセラーの方も、まずは気軽に興味を持て る話、例えばゲームや漫画のお話で打ち解けていくことも あるそうです。受容、共感という視点を持って話を聞いても らえるから、子どもも安心して話すことができます。

カウンセラーだけでなく、関わりを持ち続けてくれる先生の存在も、不登校の子どもにとって支えになります。普段か ら直接学校と関係のない話ができて、子どもが勉強や進路 のことが不安になったとき、「勉強どうしよう」「進路はどうす れば」と相談できるような関係性があるといいようです。

子どもは学校に行くこと自体がしんどいので、理解ある 先生がいても、続けて登校できない場合も少なくありませ ん。ただ、サポートしてくれる人がいたということが、将来的 に前に踏み出すときの後押しになります。高校進学の際も、そうした関わり方をしてくれる先生やカウンセラーがいる かどうかを見てみるといいかもしれませんね。

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子どもだけでなくお母さんにとっても
悩みを打ち明ける場所が必要

子どもはお母さんがいろいろと頑張ってくれているのを見てい て、プレッシャ を感じて学校に行けない自分を責めています。 ー お母さんにとっても、我が子を受け入れなくては、いい母親でいなくてはという責任感を感じていたりします。

お母さんはもう苦しさでいっぱいなのに、子どもが見ているから、自分はなかなか弱音を吐けません。でもときには子どものいない場所で弱音を吐いたり、人の手を頼ってみてほしいです。
子どものことを受け入れるのは時間がかかることが多いので す。子どもに対し「学校に行かせなくちゃ」とばかり思っていると、 子どもの欠点やできないことに目が行ってしまい、家庭内での衝突も起こりがちです。信頼できる第三者に話を聞いてもらって、 「いま(学校に)行けなくても仕方がないんだな」とお母さんが思 えるようになると、子どもの長所やできるようになったことが見え てきます。私は「温かい目の観察力」と言っていますが、それは子 ども自身にも伝わります。

私の場合は、娘が家でビデオを見ていると「あの子は一日中のんびりできていいよなあ。あのビデオをレンタルしに行くのだっ て私なのに!」といらいらしたりしていました(笑)。でも不登校の 親の会へ足を運び、話を聞いてもらい、気持ちをわかってもらえ て安心感を得ました。ゲームばかり、アニメばかり、遊んでばかりだと思っていた子どもに対し、たまにキャンプに参加してリーダーを務めたというような話をすると、「すごいね!」と評価してくれたん です。私自身、娘をそれまでと違った目で見られるようになり、成長に気づけるようになりました。

どんな人につながればいいの?
サポートしてくれる人の判断基準

不登校の子どもと接していくには、一般的な教育観や子 育て観をそのまま当てはめようとすると、しんどくなってしまうこ ともあります。できるだけ早めにサポートしてくれる人、不登校 について知識や経験を持った人に出会ってほしいです。合う か合わないかの基準は、『お母さんやお子さんの気持ちを楽 にしてくれる」かどうかで判断するといいと思います。あまり長 い時間が経ってしまうと、サポートが入っても回復に時間が かかる可能性もあります。できるだけ早く支援に、信頼できる 人につながってほしいと思います。

これは聞いた言葉ですが、「話す」ことには、悩みから解き 放たれる「放す」、悩みから距離を置く「離す」、二つの効果 があります。言いたいことを我慢しているのは、とてもストレス が溜まること。子どももお母さんも、自分の気持ちを打ち明け られる支援者につながることが、悩みから抜け出すのに大切 なことだと思います。

profile
不登校の我が子を持つ親の会
「親子支援ネットワーク♪あんだんて♪」代表 カウンセラー

不登校の子どもを持つ母親たちが自分の思いを語り、支え合う場を持ちたいと9人の母親が集まって2003年に「親子支援ネットワ-ク♪あんだんて♪」(京都府・山科)を設立、同時に代表に 就任。 2004年より民間カウンセラー養成講座講師。 2006年より個人のカウンセリングルーム「こころのそえぎ」開設。2014年にはコメンテーターとしてTV番組「あさイチ」(NHK)に出演。

我が子の不登校を経験したお母さんたちが、「これがあったら、安心できたなあ」とほんとうに思える本を作りました。

「家族や周りの人、学校との関わりをどうしよう」
「このままで本当にいいのかな」
「進路を選ぶときはどうすればいいの?」

ページをめくれば、不登校を子どもと一緒に乗り越えてきた先輩お母さんたちの、「今、学校へ行けなくても大丈夫!」の声が、あなたにも聞こえます。今の子どもの状態と、これからの回復段階がひとめでわかる「親子の回復段階表」も必須!

不登校でも子は育つ
~母親たち10年の証明~
不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~
■著者:親子支援ネットワーク♪あんだんて♪
■発行:学びリンク
■定価:1,200円+税
■ISBN:978-4-902776-80-5

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不登校・ひきこもり専門カウンセラーが見た!

不登校・ひきこもり専門カウンセラー 金馬 宗昭さん

通信制高校でのカウンセリングの重要性
不登校・ひきこもり専門カウンセラー 金馬 宗昭さん

不登校・ひきこもりの専門カウンセラーとして、中学生から成人以上までの当事者とその家族をサポートしている『すずかげ教育相談所』所長の金馬宗昭さん。通信制高校サポート校教員、通信制高校教頭を経て独立し現在に至ります。2015年には著書『不登校 ひきこもり こころの道案内 ~今日からできる具体的対応法~(学びリンク)』を上梓、好評を得ました。不登校生のサポーターとして長く関わってきた経験を通し、生徒のカウンセリングに長けた通信制高校で学ぶメリットについて伺いました。

集団生活に飛び込む前に少人数・少ない登校日数で心身を癒す

僕は、不登校・ひきこもり専門カウンセラーとして働いています。中学に通えなかった子の進路相談を受けて、通信制高校やサポート校の情報を渡すこともあります。通信制高校の教頭をしていたので、自分が勤めていた学校も含めてたくさんの通信制高校やサポート校を見てきました。

通信制高校やサポート校には、メンタル面でのサポートを必要としている生徒が多く学んでいます。例えば不登校を長く経験していたり、いじめにあったりと、心身のエネルギーを使い果たしてしまっている子どもたちです。

不登校になることで多くの場合、本人は自分が人にどう思われているのか、どのように評価されているのかが非常に気になり始めます。周囲から馬鹿にされていると思い込み、人目を避けるようにもなります。その状態の子どもたちが、大人数が共に学ぶ教室に毎日通学するのは難しいことです。

しかし少人数制で通う日数が選べる通信制高校なら、集団生活のペースに少しずつ慣れていくことが可能です。通信制高校の多くは単位制なので、3年生までに卒業に必要な単位を満たしていれば大丈夫という気持ちで、ゆっくりスタートを切ることも可能です。

また、先生方がカウンセラーの研修や資格を取るなどしていて、不登校やひきこもりがちな生徒への理解があるのもメリットですね。例えばしんどさを抱えた生徒がいて、スクーリングなど他の生徒と一緒に行動する授業やテストに不安があるとします。場合によっては、個別のニーズに沿った対応が必要です。通信制高校やサポート校は、すぐ情報を共有して、一貫性のある対応をしてくれます。

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先生との関係性により家庭の雰囲気も良い方向へ

不登校だった生徒がカウンセリングの力を持つ先生に支えられることは、保護者にとっても良いサポートになります。例えば、「保護者に指摘されると反発することでも、先生の言葉なら受け入れやすい」ということです。勉強に対する姿勢や、おこづかいの管理など、保護者から見て「これはどうなの」と思われることは少なくないでしょう。しかし子どもの側からすると、このままではいけないとわかっていてもお母さんから言われるとつい反抗してしまうもの なのです。同じ注意であっても、第三者である先生から落ち着いて諭されれば耳を傾けやすく、冷静に話ができたりします。

また、通信制高校やサポート校の自由に使える時間の多さを活かし、生徒が興味を持っている場所へ先生と一緒に出かけていけるのも大きな利点だと思います。放送業界に興味があるならテレビ局の見学に行ったり、関心を持った大学のオープンキャンパスに付き添ったり。他にも体験学習や職場見学を充実させて、楽しみながら進路を考えるきっかけをたくさん用意している学校は多いですね。

『今、幸せだよ』と子どもが言うそれがきっと子育ての終わり

僕は現在、20代や30代の人も含め、ひきこもりや不登校からの自立を支援しています。近年は就職がうまくいかず、大学卒業後からひきこもり始めたという人が少なくありません。人によってきっかけや時期はさまざまです。ただ、「子どもは10代からひきこもり始めてしまい、ずっとそのままでした。いつか出てくるだろうと信じて何も働きかけずにいたら、何年も経ってしまって・・・」という相談を受けると本当に悔しくなります。休む時間も大切ですし、自立への訓練はいつになっても遅すぎるということはありません。もちろんそれぞれが置かれている状況も違いますが、もし早くから動き出せるのなら、早いに越したことはないのです。

不登校やひきこもりを経験した人は、そこからまた立ち直ることで他の人にはない強さや優しさを身につけられます。僕は辛いことから立ち直った人たちのことを本当に素晴らしい人材だと思っています。実際、ひきこもりや不登校を克服して立派に自立している教え子をたくさん見てきました。

最後に、僕が保護者の方々に、子育てはいつまで続くのかと聞かれたときのお話をしたいと思います。そんなとき、僕は「20代の半ば以上の時期に、自立している本人が何かの拍子に『今、幸せだよ』『生きてきて良かった』と言ってくれたら、それが子育ての終わりだと僕は思います」と伝えています。不登校やひきこもりでしんどい思いをしている子どもたちが、自分に合った学びの場を見つけ、自立と幸せに向けて進んでいってくれたら本当に嬉しいことだと思います。

profile
「不登校 ひきこもり こころの相談室 すずかげ教育相談所」所長・カウンセラー。中学生から成人以上まで幅広く相談を受け、生活的・経済的自立へと導いてきた経験を持つ。不登校・ひきこもりをテーマとした講演会も各地で行う。

20代に挫折とひきこもりを経験し、不登校の子どもたちを導い てきた元教頭先生による、当事者の心情と具体的なサポートを掲載しています。「青信号」「黄信号」「赤信号」に段階を分け、そのときどきの状態に応じてわかりやすくシンプルに解説してゆきます。

不登校 ひきこもり こころの道案内
今日からできる具体的対応法
不登校 ひきこもり こころの道案内
■著者:金馬 宗昭
■発行:学びリンク
■定価:1,600円+税
■ISBN:978-4902776959

不登校・ひきこもり こころの相談室
すずかげ教育相談所

京都府長岡京市緑が丘1-1
http://futoukou-hikikomori.com


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